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1、敷引特約の定め
敷金については、賃貸借契約書に「明渡し時には敷金30万円から10万円を差し引いた20万円を返還する」、あるいは「明渡時には家賃3ヵ月分の敷金のうち1ヵ月分を差し引いた2ヵ月分を返還する」と書かれていることがあります。これを敷引特約といいます。保証金についても同様の定めがされることがあります。
契約書に書かれていて、これを了解して契約をした以上争えないのでしょうか。
2、敷引特約の意味
判例の多くは、部屋の通常の使用によって生じた汚れや傷についての自然損耗料、並びにつぎの借主が入居するまでの空室損料としています。また一部には家主に対する礼金的要素の強いものとしたり、更には自然損耗料、空室損料並びに礼金等のさまざまな要素が渾然一体となったものとする判例もあります。
判例の多くが述べている自然損耗料、空室損料という考えからするなら、既に述べたとおり、通常使用により生じた損耗は当然賃料に含まれるものであり、空室損料も実際に使用していないのに借主人の負担となるものではないと考えます。
3、判例の立場
しかし、このような理由で敷引することは原則として判例は認めており、賃貸期間や賃料、並びに敷引額や率を考慮して、それが暴利行為として公序良俗違反になるような場合には敷引きを認めないとしています。
ですから、敷引きを現在の判例の下で返還を求めるとしたら暴利行為となるものかどうかの検討が必要です。 賃料が近隣の相場並なのに高額・高率の敷引きをされているケースについては争う余地があります。
4、延焼や天災地変で借家が滅失したとき
隣家の火災の延焼で借りているアパートやマンションが類焼したり、地震等の天災地変で明けなくてはならない場合は別です。
阪神大震災の際、この問題で多くの訴訟が提訴されましたが、最高裁は震災で賃借家屋が滅失した場合は、「礼金として合意された場合のように当事者間に明確な合意が存する場合は別として」、災害により「当事者が予期していない時期に終了した場合についてまで敷引金を返還しないとの合意が成立していたと解することはできない」として敷引金全額の返還を認めて決着をつけています(最高裁第1小法廷判決、H9(オ)第1446号)。
【一斉説明会資料】から
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